炊飯器インバータ基盤修理
松下電器産業改めパナソニックのIHジャー炊飯器SR-IHVA10の三度目のネタです。内蔵電池を交換し、何事もなく使っていたんですが、電池交換から8か月、今度はすべての操作を受け付けなくなってしまいました。
上蓋の表示は出てるんで内蔵電池の問題ではないはず。ウンともスンとも言わないのは、電源に問題ありかと調べると、やはりヒューズが飛んでます。しかし、単純に交換してもすぐに飛んでしまうので、少し気合いを入れて調べてみました。
結果としてわかったのは、インバータ制御に使われているIGBTという素子と電源のブリッジダイオードの二つが死亡していたということでした。これら二つの交換と、ヒューズの交換で復活しました。
それにしても何故?製造から十年なんで経年劣化かもしれませんが、どうも前回内蔵電池を交換した際、最後に内部冷却用ファンの向きを間違えて取り付けたことも原因のようです。本来、外気を導入して冷却すべきなのに、内気(ないき)を吐き出す向きに取り付けていました。炊飯器内部は炊飯中、かなり温度が上がります。熱気では冷却が不十分となり、多分最初にブリッジダイオードが昇天して二次側にAC100Vがそのまま流れてIGBTを道連れにし、一時側に対しては短絡状態になったのでヒューズが飛んでしまったんでしょう。
修理の際は初期の取り付け状態にちゃんと戻さないといけない。当たり前なんですけど、今回は教訓になりました。
なお、同様の事例は他社炊飯器でもあるようです。
使った物
使った工具
修理前の状態。なすすべもなく放心状態といった印象。 | |
蒸気蓋は上がったまま。 |
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カバーを外して(外し方はこちら)、インバータ基盤を取り出してみます。 | |
ヒューズ(赤く囲った箇所)は見てのとおり、真っ黒になってました。 | |
ヒューズは基盤に直に半田付けされてます。左の写真のようにヒューズの両端にリード線を半田付けし、これを基盤に取り付けます。 半田付けがへたくそなんですが、そこはご愛敬ということで・・・。 なお、この基盤、表も裏も樹脂で被覆されていて、ランドの部分だけ露出しているという代物のため、結線がどうなっているかわかりません。 半田ごては60Wを使わないと半田が融けてくれませんでした。 |
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基盤にヒューズを取り付けた状態です。 | |
ちなみに、この状態で電源プラグ端子間の導通を調べると、導通のある向きと、ない向きがあることがわかります。 | |
次は、IGBT(黄色で囲んだ部品)とブリッジダイオード(青で囲んだ部品)を交換します。 これらはいずれも放熱板に取り付けられています。放熱板ごと外さないと交換ができません。 基盤裏の半田をアトラクターなどを使って取り除き、緑で囲んだ2箇所のネジを外すと放熱板が外れます。 |
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IGBTです。 通販元からは左の写真のような形で届けられました。 |
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裏には忘れないようにシリコングリス等塗布します。 また、放熱板に残っていたシリコングリスはきれいに取り除いておきます。 |
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IGBT 2個を放熱板に取り付けたところです。 左端のブリッジダイオードはまだ交換前です。 |
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この状態でブリッジダイオードを調べてみると、左図赤丸で囲んだ2箇所のダイオードが短絡状態でした。5つ上の写真で、導通のある向きとない向きがあるのはこれで説明がつきます。 | |
私が使ったブリッジダイオード、GBPC2506です。 このまま放熱板に取り付けると、基盤の表にある他の部品と干渉してしまうため、脚は切って詰めてしまいます。 ちなみにこのようなダイオードの細工はちゃんとD15XB60を使っていれば、もちろん必要がありません。 |
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各端子にリード線を取り付けないといけないですから、脚を根元から切ってはダメです。 極性は左図のとおりです。 |
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GBPC2506を放熱板に取り付けたところです。D15XB60の取り付け穴をそのまま利用しました。 | |
GBPC2506と基盤とはワイヤで接続します。ワイヤは耐熱性のものを使用しました。 | |
ブリッジダイオードへの配線、IGBTの取り付けなど終了したインバータ基盤です。 後は結線等間違いのないよう、元の状態に戻します。 |
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冷却用ファンの取り付けはこれが正解です。 風向が外→内になるようにします。 後は元通りケースを組み立てます。 |
<おまけ>
IGBTの破損原因としては「ラッチアップ」という現象もあるようです。今回、それが起こったかどうかは、回路が不明なため定かではないのですが、結果としてE-C間短絡の状態になってしまうようです。IGBTという素子のこと、ラッチアップという現象についてはググってみてください。また、今回使用した素子の特性表もネット上で入手可能です。
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